

シリーズ 最新治療の名医たち――15 美しさと根治を両立乳房温存手術の先駆者
取材・文|青木直美(医療ジャーナリスト)

腫瘍の周りにマージンをつけ電気メスで丁寧に剥離していく津川医師(左)。腫瘍の摘出後は迅速病理へ。「断端陰性」の連絡を受け欠損部を整える。術後、患者は3泊4日で退院した
「乳がんは男性でもなるんですよ。発症頻度は少ないですが、女性だけが罹(かか)るがんではないんです。日本人女性の罹患(りかん)はがんの中で最も多く、好発年齢が45〜49歳なので、子育ての真っ直中、職場で責任ある仕事に就(つ)いているという方も多い。食生活の欧米化や、高齢者人口の増加の影響で、最近は年配者の発症も増えています。男性にとっては、大事なパートナーや親の問題でもあるのです」