

コロナで休業の無念 老舗とんかつ屋店主が油をかぶり焼死したワケ
創業50年の名店店長が亡くなった。東京五輪の聖火ランナーにも選ばれた男性を襲った悲劇とは

東京・練馬区内の老舗とんかつ店から白い煙が上がった。店主の男性が救急隊員によって慌ただしく運び出され、搬送先の病院で死亡が確認された。妻と3人の娘がいる5人家族だった
東武東上線・東武練馬駅近くの商店街に、消防車のサイレン音が響き渡った。4月30日夜10時過ぎ、本誌カメラマンが火災現場に急行すると、老舗とんかつ店の裏手から、シートに覆い隠されたストレッチャーが運ばれていった(上写真)。救急車に乗せられる瞬間には、上に伸びたままの黒い左腕がわずかに見えた。