

シリーズ 最新治療の名医たち――16 陽子線+動注化学療法で頭頸部がんも切らずに治す

血管造影により抗がん剤が及ぶ範囲を画像で確認する不破医師(右)。「動注化学療法」は、日本歯科大学新潟病院のほか、三重大学病院、伊勢赤十字病院でも不破医師が治療に携わっている
Photo:浜村菜月
一般的に、がんは「加齢に伴う高齢者の病気」と考えられているが、なかには例外もある。近年、20〜30代の若い人たちに増えているのが「舌(ぜつ)がん」だ。日本では年間7000人が口腔(こうくう)がんに罹患(りかん)しているが、その数は30年前の約3倍。口腔がんの中で最も多いのが舌がんで、約半数を占める。タバコやアルコール、歯による経年の刺激など、従来いわれている舌がんの原因は、年齢的に該当するとは考えにくく、若年層の罹患者が増加している理由は定かではないという。