

驚異の43歳が口を開いた 特別読み物 「誰も知らなかった羽生善治」
今年度勝率10割、「七冠」の全盛期を超える勢いで勝ち続ける

’14年に入ってから対局した27局のうち22局に勝利。勝率は約.815と驚異的な数字を残している
Photo:菊池 修
常識外れの斬新な一手で、勝負を決めた。羽生善治(43)が森内俊之(43)に挑戦した第72期名人戦七番勝負。羽生の3連勝で迎えた5月21日の第4局2日目の終盤、羽生が劣勢の局面から放った「4一金」は、「王手は追う手」「ベタ金はヘボ」という将棋の格言にダブルで反する筋悪の俗手だった。だがそこから絶妙な指し回しで複雑な局面に持ち込むと形勢を逆転し4連勝。名人奪取を決める一手になった。