

私の戦争体験「トラック島で見た地獄」
終戦70年特別企画
出征現場、徴兵検査――75年前の発掘写真を前に語り尽くす
俳人・金子兜太(95歳)

京都市内で撮影された出征現場。日章旗を持った見送りの人々に向け壇上の若者が決意の言葉を述べている
敗戦から70年。講談社倉庫の奥に、大量のモノクロ写真が眠っていた。太平洋戦争開戦直前の、昭和15年(1940年)ごろの市民の姿をとらえたものだ。
「これは出征の風景ですね。なかなかお目にかかれない写真ですよ。写っている人々はどこか牧歌的ですね。ふっくらしていて、服装にも余裕がある。開戦前は戦争をやると聞いても、戦地は日本以外の外国だと思い込んでいた。3年8ヵ月で本土が焼け野原となり、300万もの命が犠牲になることなど、誰も想像していなかったのです」