

五反田600坪の一等地に蠢いた地面師たちの「騙しの手口」
プロの犯罪者たちが積水ハウスから奪ったカネは63億円

事件の舞台となった「海喜館」。奥に見えるのが目黒川で、右手に見えるのは桜田通り。桜田通りを進むと、すぐのところに五反田駅がある
「あなたたちはどちらの方ですか」
警視庁大崎警察署に通報があったのは今年6月1日。パトカーから降りてきた警察官から、いきなりそう誰何(すいか)された積水ハウス工務部の担当者は、さぞかし仰天したに違いない。現場はJR五反田駅から徒歩3分、目黒川を渡ったところにある旅館「海喜館(かいきかん)」の玄関先だ。不動産代金を払い込んで売買契約が成立したはずの積水ハウスが、建物の取り壊し準備のため、旅館の周辺に赤いカラーコーンを配置し、測量を始めようとした。その矢先の出来事だ。パトカーが駆け付け、周囲が大騒ぎになったのである。