

フォト・ルポルタージュ 捨てられた島「色丹島」の現在
強奪しておきながら無関心なロシア。
未舗装の道路、市街地を彷徨う牛、ゴミの山。
外交の道具と化した北方領土に本誌カメラが上陸した

色丹島(しこたんとう)第2の集落・穴澗(あなま)村に2年前に完成した病院。人影はなく牛が道を横切る
「北方四島、どこでもいいから返ってくることが、私の願いです。それまで生きていたいんです」
9月8〜11日に行われた、第5回北方四島交流訪問事業。教育関係者や24名の学生らと共に、元島民として唯一参加した色丹島(しこたんとう)出身の小田島梶子氏(85)は、横揺れの激しい船内で、そう思いを打ち明けた。