父・中村勘三郎は食道がんで闘病中、梨園の御曹司のお泊まり愛をキャッチ

雰囲気のいい居酒屋で夕食を楽しむ七之助とAさん。七之助がAさんの耳元でなにか囁(ささや)き、彼女が大笑いする場面も

　グラスをカウンターに置くと、頬(ほお)を赤らめた美女は再び楽しげに話し始めた。

「それでさぁ、聞いて。今週は本当に疲れちゃった。だって、今日お店に来たお客さんなんてね……」

　瓜実(うりざね)顔に切れ長の目が特徴的な男性は、彼女の他愛もない話を、穏やかな表情を浮かべて聞いている――。

　7月上旬、ウィークデーの夜11時過ぎ。都内の住宅街にある雰囲気のいい居酒屋のカウンターに、一組のカップルが座っていた。女性はかなりリラックスした様子で、椅子の背もたれに身をあずけ、男性に今日起きた出来事の数々を話している。店内には数人のサラリーマンらしき男性がいるが、この男性の醸(かも)し出すオーラは明らかに他の酔客と違う。背筋がピンと伸びた姿勢の良さ、洗練された手の動き。仕草の一つ一つがしなやかだ。歌舞伎俳優の、二代目中村七之助(しちのすけ)(29)である。

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