<h3>風俗業界でも値上げラッシュ</h3>歴史的な円安・物価高が続く日本経済の中において、風俗業界も全体的に値上げの傾向にある。賃料や人件費の引き上げ、光熱水費やタオル代の上昇などにより、店舗型風俗店を中心に全国規模で値上げラッシュとなっている。福岡・中洲の高級ソープ『博多アルバトロス』は、10月1日から各コースが値上げとなり、120分のスタンダードコースは総額7万8000円から総額8万3000円へと、5000円アップとなる。系列店の『博多ブルーシャトー』『ロイヤルブルーシャトー』『ロイヤルクラブ ラ・ターシュ』も同時に値上げに踏み切る。東京・吉原の高級ソープ『コートダジュール』は、8月1日から60分と90分コースを廃止し、120分総額6万5000円～のみとなった。ロングコースオンリーで分かりやすい料金形態に変更している。企業努力で価格を維持している店もあるが、かなり無理をしていると思われ、世界情勢次第ではさらなる高騰が見込まれる。このような状況の中で、世の中の流れの逆を行くように〝激安〟を売りにして快進撃を続けている風俗店がある。その最たる業種が「手コキヘルス・オナクラ」だ。　手コキヘルスは手コキがメインのサービスとなるヘルスのこと。女性は〝脱がない、舐めない、触られない〟を基本としており、働きやすいことから、風俗業界の経験が少ない女性が多数在籍している。基本的にプレイは着衣のまま行われ、ローションを使用する形となる。オナクラは「オナニークラブ」の略で、女性が男性客のオナニーを手伝ってくれる風俗店のこと。当初は〝男性客がオナニーする様子を女性が見る〟という店だったが、現在はほとんどの店が女性が手コキするコースやオプションを用意している。どちらも低料金で利用しやすいうえ、素人っぽい女性と遊べるので人気がある。豊富なコースやオプションを組み合わせて、自分だけのスペシャルサービスを受けられるのが醍醐味となっている。<figure><img src="https://media.friday.gold/image/upload/dpr_2,f_auto,q_auto:eco/if_iw_gt_1280,w_640/v1/assets/2024/09/e2bcb21dfe60194089b0c9aac5badcf9-13150438113936-13150438114164.jpg?__cld_token__=exp=1726908357~hmac=880bbdb09786c8ee5ef5161850500aa6b913732195355b1a0c99470f857f3bd7" alt="" data-asset-id="275421"><figcaption class="wp-element-caption">中洲の南新地にある『2980円』の2号館。ド派手な看板がひときわ目を引く </figcaption></figure>福岡・中洲の店舗型手コキヘルス『2980円』は、7月29日に4号館をオープン。店名通り2980円で遊べるコスパの良さが大人気。お得な回数券、ギフトカード、ファストパスカード（予約不要で待たずに受付ができるカード）などの創意工夫あふれるイベントを実施。物価高の中でも価格を上げずに薄利多売方式を貫き、着々と店舗数を増やしている。　横浜・曙町の店舗型オナクラ・手コキ専門店『横浜Cute（キュート）』は、7月1日に2号店『横浜Cute PLUS（キュート プラス）』をオープン。新店舗の登場により部屋数が増加した。さらに1500円で遊べる10分コース（女性は見るだけ）や、オイルを使用した濃厚アロマエステのオプション（2000円）が追加されるなど絶好調だ。服を着たままの手コキコースは15分2500円～となる。<figure><img src="https://media.friday.gold/image/upload/dpr_2,f_auto,q_auto:eco/if_iw_gt_1280,w_640/v1/assets/2024/09/7f09a7f57f3eb34e0fe0c9a337a33ebe-13163704070678-13163704070922.jpg?__cld_token__=exp=1726908357~hmac=1bb6735d53bf7fa9cb84ed34e4e3dfdaa91f00e98771d54979413b93a128ee67" alt="" data-asset-id="275441"><figcaption class="wp-element-caption">新店舗『横浜Cute PLUS』をオープンした『横浜Cute』</figcaption></figure>出張型のオナクラも新店が次々に登場している。5月7日に東京・大久保の『大久保ハンドメイド』が、5月20日には東京・神田の『ロリきゅあ。』がオープン。どちらも基本15分3000円（手コキのみ、女性へのお触り厳禁）から遊べる。9月1日には、首都圏におけるソフト風俗の大手・かりんとグループが、20分2500円で遊べる『かりんと池袋東口店』をグランドオープン。池袋駅東口エリア最安値となっている。　〝激安〟は手コキヘルスやオナクラだけではない。ソフトなサービスの店が流行る一方で、フルサービスとなるソープの激安店も新登場している。7月11日に40分総額9990円～の『パラダイス』が川崎・堀之内にオープン。20～29歳までの女性のみを採用し、100%実年齢表記。体操服やチャイナドレス、バニーガールなどの無料コスプレが充実するほか、9月1日～30日のキャンペーン期間中は新規限定で全コース3000円割引となり、40分コースが総額6990円で楽しめる。まさに〝価格破壊〟だ。8月1日には、40分総額1万1000円～の『club-151A 2nd（クラブ イチゴイチエ セカンド）』が高松・城東町に新オープン。同エリアの格安店『club-151A』の2号店は、〝地域最安店〟として登場した。これも遊びやすい激安店に客が集まるインフレ時代の必然かもしれない。全国のソープ街を取材していて最近目立つのは〝安さ〟を強調する宣伝広告だ。驚くほど低価格な数字を大きく記した看板やのぼりをよく見かける。特に地方では地域に密着した老舗ソープが次々に〝安さ〟を強く売り出す大手グループのチェーン店へと変貌している。個人消費が低迷する物価高の時期に、良質な激安風俗店の需要がいかに大きいかが分かる。このような激安店の増加は、風俗の歴史の中で何度も見られた。最近では’08年9月に起きたリーマン・ショックの後の〝デフレ不況〟や、’20年初頭から始まったコロナ禍の中での〝安く短時間で楽しめる濃厚接触しないソフトなサービスを提供する店の流行〟などだ。風俗業界では常に時代の要請に応じて創意工夫がなされる。その積み重ねが将来のさらなる発展へとつながっていく。出張型風俗が過剰供給となった’10年代以降、業界の女性たちの間で「以前に比べ、風俗で稼げなくなった」と言われて久しい。だが、激安店の流行は、このピンチをチャンスと捉えて〝薄利多売〟を武器に、果敢に〝危機の時代〟に挑戦する経営者たちの熱意が感じられ、性風俗産業の〝しぶとさ〟と〝たくましさ〟がひしひしと伝わってくる。　<h3>1万円未満で遊べる全国〝激安〟ソープランキング</h3>〝風俗の王様〟といわれるソープランドの業界では、一般的に総額1万円未満の店が〝激安店〟とされている。

ペンネームはイコマ師匠。風俗情報誌『俺の旅』シリーズの元編集長。徹底した現場取材をモットーとし、全国の歓楽街を完全踏破。フリーの編集記者として、雑誌やサイトの記事、自らのSNSなどで『俺の旅』を継続中。著書に『フーゾクの現代史』『ルポ日本異界地図』（共著）。

生駒明

取材・文・写真

物価高の中で「激安風俗店」が元気だ。代表的なのは手コキヘルスやオナクラだが、それだけではない。全国店の激安店76店を生駒明氏がランキングつきで解説する。