

「ドン・ファンの埋蔵金」2億円を盗んだヤツが犯人だ
「野崎幸助さん怪死事件」ベテラン従業員が語る、隠し財産の謎

ブラックカードを自慢する野崎氏。後ろにある1000冊以上の顧客名簿も、すべて警察に押収された
豪雨のなか行われた、野崎幸助氏(享年77)が経営する酒類販売会社の家宅捜索。2階の一室に置いてある金庫の前で作業する業者の様子を、和歌山県警の捜査員たちは固唾(かたず)をのんで見守っていた。資産50億円とも言われるドン・ファンだけに、金庫のなかにはいったいいくらの現金が入っているのか。だが、ようやく開いた金庫は、ほぼ空っぽ。1万円の現金すら入っていなかった――。
6月20日に行われた野崎氏が経営する会社の家宅捜索を受け、ドン・ファン怪死事件は思わぬ方向に進んでいる。会社の2階には170cmを超える大型金庫とそれより少し小さい金庫が並んでいるが、入っていたのはそれぞれ、古いスーツやネクタイと、わずかばかりの土地の権利書だけだった。これを受け和歌山県警は、現金が金庫から盗まれたとし、その犯人こそが野崎氏殺害の下手人でもあるのではないかと疑っている。捜索に立ち会ったベテラン従業員が言う。
「社長は常にカネを移動させていました。ガムテープでぐるぐる巻きにした大型のトランクに入れてね。トランクは金庫のなかに入っていることもあるし、知人の家に預けられていることもある。金庫にトランクがなかったということは、別のところに置いてあるということです」