

桐谷健太や片岡愛之助の熱演で『まんぷく』に勢いが出てきた
作家・栗山圭介の『朝ドラ』に恋して 第2話
『居酒屋ふじ』『国士舘物語』の著者として知られる作家・栗山圭介。人生の酸いも甘いも噛み分けてきた男が、長年こよなく愛するのが「朝ドラ」だ。毎朝必ず、BSプレミアム・総合テレビを2連続で視聴するほどの大ファンが、週ごとに内容を振り返る。今回は大人気放送中の『まんぷく』第4~5週から。

NHK連続テレビ小説「まんぷく」公式サイトより
『まんぷく』がノってきた。テンポよく15分を駈け抜けていく展開は、スタートから実力者がぐいぐいレースを引っ張るマラソンレースのようだ。先頭はペースメーカーではなく、レースを盛り上げるために各国から呼び寄せた招待選手たち。主役級ばかりである。
とかくマラソンでは勝負を意識するあまり牽制し合いながらの駆け引きが続き、終盤まで大勢の選手が先頭集団を形成することがあるが、そのスローペースに記録への期待はあきらめざるを得なくなる。
勝負と記録、その一方を無くしたレースにいつしか期待度は半減し、この状態を2時間以上も見せ続けられたのかと気持ちが萎える。マラソンの醍醐味はラストのデッドヒートだと、その瞬間を待ちわびるコアなファンもいるが、視聴者のほとんどが淡々としたレースに茶の間を離れることも少なくない。退屈なレースを見続けられるほど視聴者は辛抱強くないのだ。