

福島県双葉町 荒れ果てた墓が映し出す「悲痛な現実」
取材・文:形山昌由(ジャーナリスト) 撮影:山本宗補
53億円の原子力災害伝承館、
35億円の産業交流センターができる一方で……
10月5日に2回目の処理水放出が始まった福島第一原発から2㎞ほど離れた地点に、倒れた墓石が大量に放置されている場所がある。人間の背丈ほどの雑草が生い茂る一方、背後には立派な二つの建物が――。下の写真を撮影したフォトジャーナリストの山本宗補(むねすけ)氏が語る。
「ここは福島県双葉町の荒れ地です。私は気になって定期的に撮影しています。墓石は、東日本大震災による津波で流されてきたのでしょう。県と町は近くに二つの『箱物』を建てましたが、誰のための建造物なのか疑問を感じます」