

【名医対談】中村祐輔×田中紘一「医療が変わる」「がんが消える」
取材・構成:医療ジャーナリスト青木直美

世界の生体肝移植を確立したエキスパートとゲノム(遺伝子)医療の世界的研究者による対談が実現
「なんとしても患者の生命を守りたい」
逆風の中でも挑み続けた"新たな医療"
中村祐輔医師(以下、中村) 日進月歩といわれるがん治療は、今後5年のうちに大変革が起きる可能性が高い。’16年にアメリカのオバマ大統領(当時)が掲げた、「米国を、がんを治す国にする」という崇高な目標は、世界中に大きな衝撃を与えました。当時、すでに日本でもがんの6割が治るようになっていたとはいえ、難治がんや再発がんは、依然として「いかに延命させるか」を前提に治療が考えられていたからです。しかし近い将来、患者さんの遺伝子解析に基づいた「ゲノム医療」が広がり、新規の診断法や治療法が開発されれば、日本も「延命」ではなく「治癒」のための治療を目指すことができると思います。