

卵子と精子の時代 第5回 16歳差夫婦の ふたりで「自己注射」
撮影・文/大西成明
関西圏有数の繁華街を抜けた瀟洒(しょうしゃ)なマンションの一室。営業の仕事を終えて帰宅したのぶさん(43歳・仮名)は、ダイニングキッチンにセットされた注射器具を慣れた手付きで持ち上げた。短い注射針を一気に刺すと、親指に力を込め注入ボタンを押し始める。シリンジ内の薬液が、新妻やよいさん(27歳・仮名)のお臍(へそ)の横から静かに注入された。普段は一人で淡々と自己注射をこなしているが、「旦那の反応が可愛くてついついおねだりしてしまう」と、やよいさんは微笑む。