

『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』の著者が、いま最も恐れているのは「猿」だった~『猿と人間』特別対談 増田俊也×細田昌志
作家・増田俊也が昨年末に上梓した小説『猿と人間』(宝島社)が話題を集めている。「このミステリーがすごい! 大賞・優秀賞」受賞作である『シャトゥーン ヒグマの森』(同)で衝撃のデビューを飾り、『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』(新潮社)で「大宅壮一ノンフィクション賞」などを受賞。その後は『七帝柔道記』(角川書店)『北海タイムス物語』(新潮社)と小説を次々と発表する増田の眼に、近年のノンフィクション界はどう映っているのか。
そこで『沢村忠に真空を飛ばせた男/昭和のプロモーター・野口修評伝』(新潮社)で2021年度の「講談社本田靖春ノンフィクション賞」を受賞し、現在は『2003年大晦日の真実』(日刊ゲンダイ)などの連載を抱える細田昌志との新春特別対談を設けた。
『猿と人間』の創作秘話に始まり「ノンフィクション論」等、話柄は尽きぬ、興味深いものとなった。
猿は強い…!

──増田俊也さんが今回上梓した動物小説の新刊『猿と人間』が非常に怖い小説だと話題を集めていますね。何しろ850頭のサルが人間を襲ってくるパニック小説です。
増田 有難いことにかなり反響があるようで驚いています。デビュー作『シャトゥーン』でヒグマを描いたので、サルもいつか描こうと思っていたんですよ。と言うのも、実家が名古屋の郊外にあった私にとって子供の頃は身近な存在だったんです。
出演①:増田俊也
作家。1965年、愛知県生まれ。北海道大学中退。2006年、『シャトゥーン ヒグマの森』(宝島社)で『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞して作家デビュー。2012年『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』(新潮社)で「大宅壮一ノンフィクション賞」と「新潮ドキュメント賞」をW受賞。他著に『七帝柔道記』(角川書店)『北海タイムス物語』(新潮社)など。昨年、小説『猿と人間』(宝島社)を上梓したばかり。
出演②:細田昌志
ノンフィクション作家。1971年、岡山県生まれ、鳥取市育ち。芸人やCS放送『サムライTV』でキャスターをつとめたのち、放送作家に。2010年、『坂本龍馬はいなかった』(彩図社)でデビュー。2017年に『ミュージシャンはなぜ糟糠の妻を捨てるのか』(イースト新書)を発表。2020年刊行『沢村忠に真空を飛ばせた男/昭和のプロモーター・野口修評伝』(新潮社)が「第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞」を受賞。